出動“バネばかり刑事”! ミラノ&パリメンズの最新ダッドスニーカーの重さを抜き打ち検査

2019-20年秋冬シーズンのコレクション・サーキットが、パリメンズまで終了しました。メンズ担当として海外コレクションの取材に行くのは、今回が4回目。1月の出張は年明け早々に出発するため、2〜3週間分の荷物を特に早めにパッキングしておかないといけません。今回も着替えやパソコン、スケジュール表などの準備はいつも通り万端でした。ただ一つ“バネばかり”を除いては。

ここ数シーズンのメンズ・コレクションでは、ダッドスニーカーのブームが続いています。そして各ブランドのPRは商品説明をする際、かなりの高確率で「(大きい)見た目の割に軽いんです」と言うんです。「確かに!」。その場では心からそう返事をするものの、本当に軽いのかは比較しようがありません。そこで、19-20年秋冬シーズンは“バネばかり”を持参し、実際に測ってみることをミッションの一つに掲げておりました。「WWD JAPAN.com」編集長がサラッと言った「オシャレな“バネばかり”にしてね、オシャレなやつ」というデザイン重視の指令が厄介で、結局、出発ギリギリまで探し回ることになりました。最終的には1932年創業の老舗計量器メーカー「三光精衡所」のプロ仕様タイプを購入。機能性と安定感優先です。だって「オシャレな“バネばかり”」なんてなかなかないんですよ、編集長……。

ミラノ・メンズ・コレクションから常に“バネばかり”を持参し、“バネばかり刑事(デカ)”としてダッドスニーカーを探しました。やはりダッドスニーカーはまだまだ多く、ミラノとパリを通じて合計8足の計測に成功。中には「こんなの“ダッド”スニーカーじゃねえよ」とスニーカーマニアから怒られそうなモデルもありますが、今回はボリュームたっぷりのモデルを選び、動画のようにつって、つって、つりまくりました。結果をランキング形式で発表する前に、まずは参考値として、「WWD JAPAN.com」編集長の私物のダッドスニーカーの重さを紹介します。

「一体、何足持っているんだ?」というツッコミはさておき、やはりダッドスニーカーブームの先駆けである“トリプル S(TRIPLE S)”は、編集長も「まあまあ重い。『1017 アリクス 9SM(1017 ALXY 9SM)』のショー会場の5階まで階段だったのはツカレタ」と言いながら履いています。

以上を参考にしていただき、いよいよミラノとパリで見つけたボリュームたっぷりのスニーカーを、軽いモデルから順に発表します!

「ラルフ ローレン パープル レーベル」からもついにダッドスニーカーが登場。代名詞のタータンチェックやブラウンのスエード素材がクラシックな佇まいながら、ソールはしっかりと分厚くてトレンド感があります。今回登場したモデルの中でも見た目の重厚感は上位クラスですが、結果は最も軽量でした。

今シーズンからデザインチームが手掛ける「ブリオーニ」は従来よりもカジュアルの提案が増えました。その一環として、ブランド初のダッドスニーカーに挑戦。高級紳士服ブランドが作るスニーカーは、どこかぎこちないけど愛らしい。大きめのシュータンに期待は高まりましたが、アッパーがキャンバスなので重さはそこそこでした。

キュートなシューズが豊富な「マルニ」からは、スピーカーから着想したソールがユニークなスニーカー。伸縮性のあるアッパー素材なので一見軽そうに見えたましたが、ソールのデザインが凝っている分、なかなかの重さ。ちなみにヒットしている定番“ビッグフット”は550gでした。

「ジュゼッペ ザノッティ」から前シーズン登場し、早くも人気だという“アーチン”シリーズ。アーチンとは日本語で“ウニ”。トゲトゲのソールが特徴です。新作は見るからになかなか重そうですが、アッパー素材が軽量なので意外と軽い。キャンバスタイプは480gと軽量化を進めているようです。

「ヴァレンティノ」と「アンダーカバー(UNDERCOVER)」がコラボレーションした争奪戦必至の一足。シュータン部分には小説家のエドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)のモチーフが別パーツで付くというユニークなデザインです。アッパーにメッシュ素材を使用しているため、大きさの割には軽かった印象です。

スニーカーを得意とするヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が手掛ける「ルイ・ヴィトン」の新作は、スエードとフェルトを組み合わせたシックな新作。細かいパーツの作り方が秀逸です。フォームはしっかりと今っぽいダッド感があるから、大人でもストリートっぽく履けるスニーカーとして人気が出そう。ソールがゴツめなので、そこそこの重厚感があります。

「クリスチャン ルブタン」が2019年春夏シーズンにスタートした新たなダッドスニーカーシリーズ“ラン ルビ ラン”の新作“レッド ランナー”もなかなかの重さ。アッパーやソールには複数の素材をぜいたくに使用しているので、この順位も納得です。

「ジミー チュウ」は、1960年代の人々が宇宙に思いを馳せたイメージをコレクションで表現。夜空のようにキラキラと輝くアッパーとソールが特徴の通称“ダイヤモンドスニーカー”はギラギラの装飾が多い分、重さも圧倒的。“トリプル S”には及ばなかったものの、他ブランドを寄せ付けませんでした。

以上、19-20年秋冬メンズランキングは、「ジミー チュウ」が初代王者に輝きました。でもダッドスニーカーは軽いモデルが好きな人もいれば、重い方が安定感があって歩きやすいという人もいて、好みはそれぞれ。あくまで目安として楽しんでください。ダッドスニーカーに限らず、世の中にボリュームたっぷりのアイテムがある限り「三光精衡所」のバネばかりが火を噴く準備は常にできています。それでは“バネばかり刑事”が次回出動する際に、またお会いしましょう。

“バネばかり刑事”の手により計測しているので、多少の誤差はご了承ください。またサイズや商品化の際に重量が変わる可能性もあります

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