19年春夏最大のトレンド「スポーツ」を楽しく着るボディーメーク

2019年春夏シーズン最大のトレンドであるスポーツスタイルの代表格「MSGM」をカッコよく着るため、「RIZAP」に通い始めたこの企画。

19年春夏最大のトレンド「スポーツ」を楽しく着るボディーメークWeek6体脂肪大幅ダウン!カラダづくりが楽しい春、到来!!

体脂肪率は順調に減っている今日この頃。普通のダイエット連載なら、そろそろ「停滞期」について記事を書く頃なんでしょうが、一向に訪れる気配がありません。ついに体脂肪率は1ケタ台に突入です。カラダの反応に合わせて食事の摂り方をちょっとずつ変えることで「良い意味でカラダ慣れさせない」工夫を取り入れているお陰のようです。ということで、今日は、当初の構想を変更。「停滞期」のお話ではなく、人体の不思議にまつわるお話をしたいと思います。

「RIZAP」での筋トレは、マンツーマンで1回50分。現在、およそ週2、3回のペースで通っていますから、毎回お付き合いいただく伊藤祐トレーナーとは最近、実にいろんな話をしています。特に各部位のトレーニングは10回のエクササイズを3セットくらいこなすもの。セットとセットの間には必ず1、2分のインターバルがあり、そこで僕はファッションやビューティの話を、伊藤トレーナーはカラダや筋肉の話をするワケですが、これがメチャクチャ面白い!ということで今日は、6週間を迎えたトレーニングの間に聞きかじった、カラダにまつわる話を紹介します。

まず最初に「へぇ」と唸ったのは、女性の体には黄金比があると言う話。下で紹介する今週の“マッスル”レビュー「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」編でも触れていますが、女性はたとえぽっちゃりでも、ウエストとヒップが0.7:1のプロポーションバランスなら魅力的に見えるというんです。

たしかに「マイケル・コース コレクション」の常連モデルとなったプラスサイズモデルのアシュリー・グラハム(Ashley Graham)は、ふくよかながら、この黄金比を体現しているかも!伊藤トレーナー曰く、この黄金比が魅力的と思えるのは、特に男性はウエストに対して大きなお尻(健康的な骨盤)から、子どもが産める丈夫なカラダを無意識的に連想するからだそう。となると、この黄金比は我々のDNAに刷り込まれているというか、人類が種の保存のため本能的に持ち合わせている価値観なワケで、「未来永劫、決して揺らがないのでは?」なんて考えてしまったり。皆さん、伊藤トレーナーのセオリー通り、理想の黄金比を目指してみてはいかがでしょうか?

もう一つ面白かったのは、誰しもが聞いてみたかった(!?)禁断の「恋」のハナシ(笑)。思い切って、「お客さんが、インストラクターに恋する事はないんですか?」と聞いてみました(笑)。すると伊藤トレーナーは若干ためらいながら、「聞いた話では、コンプレックスや悩み打ち明け、二人三脚で乗り越え、達成し合う関係性は、脳科学的に言えば、変な錯覚を起こす可能性はゼロではないらしいです」と(笑)。でも錯覚は、お客さんとトレーナーという関係性による“キラキラ補正”がかかっているもので、仮に恋愛関係になっても上手くいかないケースが多いのだとか。「という事を知っているので、勘違いはしません(笑)」だそうです。というワケで(?!)、「RIZAP」のインストラクターは、お客さんとのプライベートな交流は禁じられています。

筋トレを始めてしばらくが経過し、健康的な生活を送り脂肪が落ちてくると、今まで普通だと思っていた味付けをしょっぱく感じたり、体内のエネルギーが不足すると気だるさを覚えたり、そんな時はアドバイス通りプロテインなどでエネルギーを追加すると一気に回復したりと、カラダの感覚が研ぎ澄まされてくることがわかります。人間のカラダって、本当に不思議。そして偉大。

ウエストとヒップの黄金比、エクササイズすると惚れやすくなっちゃうというストーリーを聞くとますます「人間ってスゲぇ!」と思ってしまうのです。

さて今週の測定結果は、
・体重:55.3kg(当初比-4.0kg、前週比+0.6kg)
・体脂肪率:8.9%(同-6.7%、同-1.8%)
・筋肉量:47.8kg(同+0.4kg、同+1.5kg)

俵万智なら、「今日は私の体脂肪率1ケタ記念日」と一首読んでるところですね(笑)

【今週の“マッスルレビュー”:「マイケル・コース コレクション」2019年春夏ニューヨーク・コレクション】
連載では毎回最後に、伊藤トレーナーにモデルのカラダの側面から、コレクションブランドを分析していただきます(伊藤トレーナー個人の見解です)。ブランドは千差万別。その世界観を表現するモデルも千差万別。モデルのカラダを分析すれば、ブランドの新たな魅力に気づくかもしれないし、もっとカッコよく洋服を着こなせるかもしれません。今回は、上でお話した通りの「マイケル・コース コレクション」。人それぞれの美を訴えるダイバーシティーなブランドは近年、ふくよかなプラスサイズモデルの起用にも積極的です。彼女たちのカラダには、どんな秘密が?伊藤トレーナーが迫ります。

今回は「マイケル・コース コレクション」について。前回に引き続き、女性のボディーメークを紐ときます!
モデルは体型も多様で、スレンダーなカラダから女性らしい丸みのあるカラダまでさまざまですね。

「細い=綺麗、可愛い」という、日本にまだまだ根付いてしまっている都市伝説的な考えは既に古く、世界ではどんな体型にも「個性」があるという多様性が常識になっています。

女性らしい丸み(=体脂肪量)、たくましさ(=筋肉量)の理想はさまざまで、「痩せている=可愛い」の文化は時代が創りあげてしまった一時的なものに過ぎないと認識しています。平安時代は、ふくよかな女性の方がモテましたしね(笑)。

そんな中でも1つ共通点があるんです。前回お話したウエスト:ヒップ比 = 0.7:1(Waist Hip Ratio 0.7)の黄金比です。ヒップのサイズに対し、ウエストが0.7の大きさであれば魅力的なボディに見えるという黄金比ですが、これはスレンダーだろうが、丸みのあるボディだろうが、共通して当てはまるポイントです!

本能的に「魅力的」に思ってしまう対比については、昔から研究されています。「ただ、キレイになるために痩せる!」ではなく、「キレイなバランスにする!」というボディーメークの正しい在り方です。ぜひ魅力的なボディを目指してください!

アングラなスケートカルチャーは触っちゃいけない聖域

1980年代——。今でこそ、「シュプリーム(SUPREME)」は大人気ブランドになったが、日本ではまだまだスケートボードがアンダーグラウンドなカルチャーだった時代。そんな初期のスケートボードにどっぷりハマった藤原ヒロシらによって、その後、アングラだったカルチャーが表舞台に押し上げられることになる。一方で、上野伸平はアングラから叩き上げのストリートスケーターの一人だ。このほど、虎ノ門にオープンしたスケートパーク「キューコン(QUCON)」の中心メンバーでもあり、藤原の携わる「モンクレール Tシャツ コピー ジーニアス(MONCLER GENIUS)」のプロモーションムービーも手掛けた。お互いを知っていながらしばらくは“一方通行”だったという2人が意気投合し、オープンニングには「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」とのコラボアイテムも並んだ。今回は、コピーではなく自分のオリジナルを発してきた新旧スケーターによる対談の前編。

なぜ虎ノ門を選んだんですか?

盛り上がっているのが原宿とか渋谷ばかりなんで、虎ノ門でやるのも面白いかなと思ったんです。

ヒロシさんは(虎ノ門の位置する)港区でもお店をディレクションされていますが、どうですか?

港区は家賃が高いし、いい環境でできる場所がなかなかないから。そういう意味では、僕も面白いことをやろうと思っても、例えばプール(ザ・プール青山)やパーキング(ザ・パーキング銀座)みたいに結局場所に左右されちゃう。仕方ないことだけど、それが東京っぽいところかなとも思う。

お二人の出会いは何だったんでしょう?

僕は元々、スケートボードが好きだったから彼のインスタをひっそりとフォローしていたんだよね。そしたらなぜか突然フィレンツェ(「モンクレール ジーニアス」のインスタレーション会場)に現れた。

いや実は僕、最初は裏原世代の後ってこともあって藤原さんのこと知らなかったんです。僕が2013年に作った「レンズ2(LENZ 2)」っていうスケートビデオがあるんですが、嫁が突然「インスタグラムで藤原ヒロシが『レンズ2』のことをすごいって言ってくれてるよ!」って。そこで藤原さんのことを初めて知って調べたら「めっちゃすごい人やな」って。

僕も当時は知らなくて、その時はスケートボードが個性的で面白くてフォローしてたんだよね。お互いが一方通行だった(笑)。

それでDMでお礼したんですよ。「ありがとうございます」とか、その時はそれぐらいで終わったんですけど。

そのあと1回雑誌で対談するって企画があったんだけど、その時もせっかくストリートでやっているからメディアが寄りすぎると失礼かなと思って。彼らは彼らでかっこいいアンダーグラウンドカルチャーをやっているから、距離を置いておいた方がいいかなと。僕はアンダーグラウンドが好きだけど、マジョリティーも絡んでいるからあまり触ったらいけない聖域があるかなと思って触ってなかった。でもフラっとフィレンツェに現れてそこで初めて話をしたら上野君から「全然そんなことないです」みたいに言ってもらえてっていう流れかな。

そのフィレンツェも多分、藤原さんがメディアで僕のことを言ってくれていたりしたのを感度のいい方たちが聞きつけて、俺を「モンクレール」に招待してくれたんだと思うんです。

僕はてっきり逆だと思っていました。ヒロシさんから「モンクレール」に巻き込んだのかと。

いや、すごく好きだったんだけど、絡んだら怖そうだなと思ってた(笑)。

「上野君って意外と良い人なんだね」って言われましたからね(笑)。

でもなんかあるじゃん。ストリートカルチャーってアンダーグラウンドだから、あまり触らない方がかっこいいかなとか。でも会ってみたらすごい話が合った。

では、お二人が一緒に仕事するのは今回が初めてですか?

そうだね、ちゃんとやるのは初めて。キューコンができるという話を聞いて、何か一緒にできることがあればやりましょうと。

さっき藤原さんがおっしゃってたみたいに、俺はずっとアンダーグラウンドでやってきて、ほんとにすごく小さなマーケットだったんですけど、ものすごくコアな奴らとやってきた。でもある意味限界が見えてきたというか……、「ここまでやな」というのがあって。もっとスケートボードを発展させたいし、環境整備をしたいんですよね。でもそういうのって自分たちと違う人たちと一緒にクリエイションをやりながら伝えていかないと広がらないので。藤原さんの影響力はそこが一番デカいから相談させてもらったって感じです。

ヒロシさんと一緒に何かする機会が増えて、実際にアンダーグラウンドの扉が開いたという実感は?

めちゃくちゃありますよ。スケーターはもちろん、ファッション関係や音楽関係の人とかにも自分を知ってもらえたし、仕事も増えました。地元の大阪でも感じるし東京にいるともっとですね。以前、スノーボードに連れて行ってもらったんですけど、新潟のスキー場ですら僕のことを知ってくれてる人がいてビックリしました。

ヒロシさんは最後にスケートしたのが10年ぐらい前だと言っていましたが、最近のスケートシーンについてはどう思いますか?

めっちゃすごいし、めっちゃ上手いね。ある意味競技っぽい人達もいて、きれいなんだけど魅力がなくなっている部分もあるし、アンダーグラウンドでかっこいいものもある。「モンクレール」でビデオを作ってもらったんだけど、上野君ともう一人のショー(・ウエスト)君もかっこいい。見た目は怖そうなんだけど(笑)。でも僕にとってのスケーターの魅力ってそういうところもあるから。

“悪そう”なカッコよさもあると。

“悪い”だけじゃないんだけど、なんだろう。上野君みたいな滑りじゃないのかな。

上野さんが過去のインタビューで、オリンピックの競技種目にスケートボードが選ばれたことについて、「そういう人たちとストリートスケーターは違う」と答えていました。ヒロシさんもそう思いますか?

そういう人たちも多分ストリートでやったらすごく上手いと思うけど、目指しているところは全然違うと思う。

オリンピック選手とストリートスケーターは対照的な存在なんで、やっぱり違いますね。ストリートスケーターって存在自体がイリーガルだから。何がストリートで何がコンペティションなのか、そういう感覚ってストリートスケートしていないと分かんないと思うんです。確かにオリンピックに出るスケーターがストリートで滑ったら俺よりもはるかに上手いけど、何かが違う。それってスケートボーディングに対する考え方なんですよね。例えば、そこからそこまで何回プッシュするとかの美学。スポーツだと1回だろうが3回だろうが成功すれば関係ないんですけど、スケートボードの世界は違う。ストリートスケーターにはそういう細かい美学がめっちゃあるんです。

新デザイナー起用で「J&Mデヴィッドソン」はどう変わった?

八木通商傘下の英国ブランド「J&M デヴィッドソン(J&M DAVIDSON)」が2019-20年秋冬に生まれ変わる。30年以上にわたりブランドを率いてきた創業者のジョン・デヴィッドソン(John Davidson)とモニク・デヴィッドソン(Monique Davidson)夫妻からバトンを受け継いだのは、ケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)新クリエイティブ・ディレクター。主力のバッグをはじめ、ウエアやシューズ、アクセサリーまでフルコレクションを手掛ける。数々の著名ブランドで象徴的なアイテムを生み出し、アクセサリーのエキスパートとして知られる彼女が語る新たな方向性とは?

「J&M デヴィッドソン」のコアバリューをどのように解釈しているか?

「J&M デヴィッドソン」は、ラグジュアリーの世界でまだ発見されていない宝石のようなブランドだと思います。この話をもらったときは、本当にワクワクしました。ブランドのコアバリューは、「エブリデー・ラグジュアリー(毎日使えるラグジュアリー)」というコンセプトに実直であること。それが、今後も「J&M デヴィッドソン」が全てのカテゴリーにおいて目指すべきものだと考えています。

その考えをどのようにコレクションに反映したか?

普段から持てること、着られることを、全ての商品のデザインプロセスはもちろん、ウエアの生地やバッグとシューズに使うレザーの選定に至るまで、とても深く考えました。機能的であるということも、われわれがデザインするうえでとても大事なポイントになっています。

「J&M デヴィッドソン」の新たなイメージをどのように作り上げているのか?

ブランドのDNAと創業者が培ってきた素晴らしい歴史を新しいデザインに注ぎ込んでいます。私が考えているのは、自分だけでデザインや物作りを進めるのではなく、さまざまなアーティストや製作に携わる人々とのユニークなチームワークを通して、「J&M デヴィッドソン」に新しい側面をもたらすこと。例えば、店内デザインは私と長年パートナーを組んでいるティナ・ヴァイア(Tina Vaia)と、ビジュアル撮影にはヒューゴ・スコット(Hugo Scott)とタッグを組みました。そして、ショールームと店舗に置くハンドメードのテーブルは、ジェフェリー・ウエスト(Jeffery West)が製作したものです。今構想を練っている新店舗では、そういった個性豊かなアーティストと作るブランドの新たなコアバリューを体感できるような空間を考えています。また、「J&M デヴィッドソン」は設立当初からアートとのかかわりが強いブランド。なので、創業者がロンドンに最初に作った店舗はアーティストたちが多く集うコミュニティーのような場所だっただろうということに思いを馳せながら、そういったチームを組んでクリエイティブ・ディレクションを進めています。

コレクション制作にあたり、イメージした人物像は?

デザインする上で最初に作るムードボードには、私が大好きでブランドのイメージに合致している人が多く登場しますが、その中でもダイアナ妃からは大きな影響を受けています。

ファーストシーズンとなる2019-20年秋冬コレクションのインスピレーション源やテーマは?

まず、顧客が新しさを感じるパーソナリティーと親しみのあるブランドらしさを融合し、これまで培ってきたディテールを取り入れることで、新しいアイコニックなアイテムを生み出すことに挑みました。イメージしているのは、シーズンごとにアップデートし続けていく「J&M デヴィッドソン」ウーマンのワードローブ。そこには、常に英国的な要素とアーティスティックな要素がミックスされています。われわれは全く新しいものを発明しようとしているわけではなく、クラシックなアイテムから常にインスピレーションを受けながら、自分のワードローブにほしいと思えるものを提案することを考えているのです。

新しいコレクションの中で、特に気に入っているアイテムは?

新たにデザインした“ベルト バッグ”と、アイコンモデルである“カーニバル”を再解釈した“フリンジ カーニバル”が気に入っています。また、ウエアでは“ジェントルマンシェイプ コート”と呼んでいるウィメンズのコート、シューズでは英国らしさを感じるバックルブーツがお気に入りです。

一般的にラグジュアリーブランドのバッグは価格が上がりつつあるが、価格帯についてはどのように考えているか?

どんな顧客に買ってもらいたいかというビジョンが、価格帯を決めるときに一番重要な点だと思っています。われわれの考える顧客は、スーパーブランドによる高価格帯の商品だけが欲しいという女性ではなく、“本当に良いもの”を知っている審美眼のある女性。そんなお客さまに対して、実際に手の届く価格帯でアイテムを提案するためにわれわれは努力を続けています。また、使用するテクニックやディテール、素材によっては他よりも高いアイテムもあるかもしれませんが、その価格である理由を理解していただくことにも取り組んでいきたいと考えています。

これまで数々のアイコニックなアイテムを手掛けているが、バッグのクリエイションにおいて最も大切にしていることは?

特徴的なデザイン、美しい仕上げ、機能性、そして、高い価値があることです。

現在は、どこを拠点にクリエイションを行っているのか?

ロンドンとニューヨークを行き来しています。ブランドにとって大切な“英国らしさ”を体現するにあたりロンドンで暮らす人間であることは常に意識していますが、たくさん世界を旅していることもグローバルに物事を考える助けになっています。

「J&M デヴィッドソン」は日本でも人気があるが、日本市場をどのように見ているか?

私は本当に日本が大好きです。日本のお客さまは細部に対する審美眼があり、品質の高さを知っています。商品の価格にかかわらず、品質がとても良いものでなければならないという考え方にも本当に敬意を抱いています。

今後注力していくカテゴリーは?

われわれはレザーグッズに力を入れていて、新しいシグネチャーバッグを毎シーズン生み出したいと考えています。また、将来的にシューズにも注力していきたいと考えていますし、アウターやニット、シャツなどにも可能性を感じています。

今後のビジョンは?

「J&M デヴィッドソン」のチームメンバーはすばらしく、このチームでブランドを未来に進めていくことをとてもうれしく思っています。先ほども答えましたが、クリエイティブなコミュニティーのようなチームを作るとともに、英国らしさとブランドならではのユーモアや遊び心を加え、ブランドイメージを高めていきたいですね。

1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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ジーンズは地球環境への負荷が大きいプロダクトとしてやり玉に挙げられることが多い。大量の水と農薬を必要とする綿を主な原料とし、染色、加工でも大量の水を使い、水質汚染を引き起こすこともあるからだ(現在は汚水を飲み水レベルまで戻して排出する工場が主)。綿花栽培には世界で用いられる殺虫剤の25%が使われており、土壌は汚染されて食品生産に向かない。生態系は崩壊し、労働者は病に侵されているとまで言われている。

そんなデニムアイテムを主軸にしながらも、地球や人間、動物に配慮した超ヘルシー経営を実践するのが、2001年創業のスウェーデン発「ヌーディージーンズ(NUDIE JEANS)」だ。原料生産からプロダクトが廃棄されるまで、いかに環境に配慮できるかに徹底的に取り組んでいる。例えば、原料にはオーガニックコットンを用い、製造工程でも極力薬品を用いず、再生可能エネルギーを用いた工場で生産する。サプライヤーの労働者にも生活賃金(最低賃金とは異なり、年間を通じて受け取れる適正な賃金)の支払いを目指し取り組んでいる。

一度購入したジーンズは何度でも無料で修理する。修理ができなくなった、あるいはサイズが合わなくなるなど必要がなくなったジーンズは新しい一着のための20%オフクーポンと引き換える。引き取った古着は、洗浄して手を加えたうえでリユースデニムとして販売され、リユースが難しいものは、生地が再利用されてキャップやバックパックなどに生まれ変わる。同ブランドは、こうした1つのプロダクトが循環する仕組みを作った。

創業者の一人パレ・ステンバーグ(Palle Stenberg)最高経営責任者(CEO)はブランド設立の理由について「2つある。1つ目は働く人全員がハッピーな会社にしたいということ。寝る前に『ヌーディージーンズ』で働いていてよかったなと思われるような会社にね。もう1つは、自分たち(創業メンバーはマリア・エリクソン(Maria Erixon)=クリエイティブ・ディレクターとジョーキム・レヴィン(Joakim Levin)会長で全員が創業前からデニム産業に関わっていた)が好きなデニムを作りたかったこと。キャットウオークに出てくるようなファッションフォワードなものではなくてね」と語る。

ヌーディージーンズの2017年の売上高は4700万ユーロ(約60億6300万円)。全体の80%をデニムを占めるが、その原料はすべてオーガニックコットンだ。今でこそ手に入りやすくなったオーガニックコットンも「創業当時は手に入らなくて本当に困った。僕たちは責任を持ってモノ作りをしたいと考えた。ファッション産業はオイル産業に次いで環境負荷が大きい。地球では毎年10億本のデニムが生産されていて、たくさんの農薬が大地に注がれていて土壌へのダメージが非常に大きい。履く人にとっても薬品が使われているのはよくないでしょう?一方で、オーガニックコットンが手に入らないから製品にできる量が限られていた。しかし僕たちは諦めず、04年頃に生産者を本社に招き、オーガニック100%で作れないかと伝えた。半分が『やってみる』、半分が『無理』という結論だった。徐々にオーガニックコットンが市場に広がり、12年には当社のすべてのコットンをオーガニックに替えることができた。つまり、消費者もオーガニックコットンの商品が欲しいと思ったら、今はとても買いやすくなったということ」。原料生産から消費者の手に渡るまでの環境負荷を数値化したとき、その66%を占めるのが原材料の生産と素材の加工だと言われている。つまり、原材料の生産こそが肝なのだ。とはいえ、国際的NPOのテキスタイル・エクスチェンジ(Textile Exchange)によると、2015年度(15年8月1日~16年7月31日)に世界で生産された2090万tもの綿花のうち、オーガニックコットンの割合は約0.51%、10万7980tにすぎないという。

「僕たちは他のブランドを刺激したいんだ。車業界でいう『テスラ(TESLA)』のようにね。楽しみながら責任を持ち、利益を生み出す仕組みを作ることこそが重要だよね。どの業界でもいい商品を作るのは当たり前で、プラスアルファが求められる。そのプラスアルファの情報は自分たちから発信すべきなんだ。だから僕たちは、小さいことから、始められることから伝えている。消費者の方にお願いしたいのは、オーガニック製品を選ぶこと。オーガニックを選べば世界は簡単に変えられるから」。